PARADISE LOST

ブランド: light
最後にまとめ。今更過ぎる世界観と特徴的なテキストで構成された良作でした。
シナリオの構成要素は「旧文明」「廃墟」「天使」「聖書ネタ」といった富士見ファンタジア文庫、若しくは角川スニーカー文庫にありそうなものばかりですのでこの系統が好きなら楽しめると思います。作中で"式"と呼ばれる文語体な祝詞の類にヘブライ語だか英語だかのルビを振ったりするセンス、端役にも名前を与える気遣いなんかは正にライトノベルのそれですし。読みにくい漢字や一般的でない表現を多用するこのテキストセンスは徐々に柔らかくなっていきますが、酔いに近い独特のノリは最後まで健在です。「 (わず) か」なんてうちの ATOK15 じゃ変換できません。
基本は主人公二人の一人称、たまに神視点の三人称を使って心情描写をするというえろげでは比較的珍しいタイプの書き方がされています。あまりにテキストそのものの癖が強いからか、私はさして違和感を抱きませんでした。
ただ堅いだけでなくギャグとかラブコメ調なネタも一通り書けているところ、そして無駄な装飾やシーンをばっさりと切り捨ててしまう決断の良さが全体を上手く引き締めてます。それでもちゃんとエンディングまでには、初回でもほぼ全体像を理解できるだけの情報が与えられます。無駄に壮大な風呂敷を広げてあぁだこうだと蘊蓄並べられるのが嫌いな私にはこの絶妙なバランス加減がありがたく感じました。
キャラクタはジューダス・ストライフが全体を通して一番目立っています。声の嵌り具合も見事。次点はアストで、リルとソフィアは何だかんだで美味しいところが殆どありません。さらに年長者は除け者です。
音楽は久々に印象的なものが聞けました。戦闘シーンの曲は盛り上げ役として十分なできです。しかし困ったことに、初回特典のサントラには何故か全曲収録されていません。未使用曲と思しき曲が入っている代わりに数曲の抜けがあります。37 分しか使っていないのに何でこう中途半端なのでしょうか。
CG は雰囲気重視、見た通りです。ついでに H シーンに関しては自然な流れである反面、必要性が前面に出てしまうことによるドライな印象を受けました。要は無駄な期待はするなと。

よかったところ
三章ラストの燃える展開、意味不明固有名詞を撒き散らしつつも煙に巻かずに終わらせた構成力
わるかったところ
サブキャラにももう少し出番があっても良かったかも、サタナイルの声に重みがあれば尚良し、サントラの不備

冒頭に上げたような構成要素の断片、テキストの特徴といった諸々は Web で公開中の体験版にも詰まっています。なので体験版で合うなら買って損はないかと思います。

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