ホワイトブレス

ブランド: F&C FC02
歩エンドでコンプ。外部キャラってことによる距離感が不安でしたが、刹那との絡みもあって上手く繋いでいたように思います。内容的についてもその感想についても、美乃シナリオに対するものとほぼ同様。近づきすぎないルートの方が印象良いってのも皮肉な話です。
さて総評。WithYou は足りないものがちょっと多かっただけで決して駄目じゃない、と割と好意的にみている私でさえ本作はちょっとどうかと思いました。不平不満の受け皿 (平たく言えば乃絵美) が無い分、余計に駄目駄目なものに。
そもそも本作のコンセプトは何でしょう? パケ裏には死に直面したとき 残された時間の中で 日々の大切さを知ったと書かれています。が、本作のいったい何処にそんな死という恐怖に直面したり追い詰められたりするような描写があるのだか。たった 2 つの固定イベント + αがあるだけであとは殆ど普通。緊迫感とか焦燥感といったものが欠片も感じられません。時期も合わせると、過去の病の再発というよりトラブルに巻き込まれた心労倒れ……といった方がしっくりきてしまいます。
倒れるまでの過程がこの調子ですから当然、倒れた以後も似たようなものです。主人公が寝ていた時間については最小限、いやほんの数シーンで匂わす程度しかないのには驚きました。普通なら一気にポイント稼ぎをするところなのに。
再会シーンにしても、もっとこう盛り上げるお約束なやつがあるだろうにそんな手垢にまみれたネタは使いたくないとばかりに淡泊にあっさりと。ここまでくると意図的に外角低めを狙っているような。
構成は小イベント積み重ねてちょこっとした中イベント挟んでくっついて、これからというところで主人公ぶっ倒れてすぐ復活してエンディング。平和な日常の有り難みを強調したいのか、期間としては小イベント部分が割と長めです。同居というお約束爆弾を抱えるはずの美緒系ルートでもこの調子は変わりません。終盤まで盛り上がりに欠けるまま進んでいつの間にか問題に向き合ってて、そしてまたいつの間にか解決してるような流れです。
基本は会話文のみで心理・情景描写は補足として挟まる程度の扱いです。が、その会話文でさえ、質疑応答めいたワンパターンぶりが目に付きます。たとえば歩の小イベントでの会話だとこんな調子。

「へぇ、プロなんだ」
「ううん、まだ駆け出しよ。そんなに仕事貰えてないから」

「今日は暇なのか?」
「ううん、オーディションの帰りなの」

「雑誌とかスタジオって年中無休なのか?」
「ううん、お正月休みがあるから、この時期は早めに仕事が来るの」

「よっ、仕事帰り?」
「ううん、今日は入りが遅いから、まだよ」

「な、なんだよ?」
「ううん、じゃあ先に席取っちゃいましょ」

否定的間投詞は「ううん」しか知らんのかこのライターは。
冗談でも期待する人はいない H シーンでは、会話ですらない嬌声垂れ流し状態となります。ト書きが殆ど無いくせに (声をちゃんと聞くと) 時間だけは取るため、ふと気が付くと「あれ、今何してるんだっけ」と疑問に思ったりしてました。このやる気の無さは正に F&C 最盛期。いくら作品内の時間が 6 年前だからって、そういうレベルまで 6 年前に戻らなくてもいいですってば。
しかし CG についてはさすが F&C 。業界全体のレベルが上がって以前ほど目立ちはしなくなったものの、彩色と仕上げには他の追随を許さないものをまだ持っています。特に軽視されがちな背景をこのレベルで提供できるところはそう多くありません。そして何よりも黒スト最高。あの肌色と混ざった微妙な色合いを描けるブランドが他にありましょうか、いやない (反語) 。

よかったところ
橋本タカシ原画、FC-G 彩色のショートシナリオ付き CG 集
わるかったところ
コンセプトが曖昧で結局、心労倒れのお話でしかなかったこと

多分これ、企画を温めすぎて変質したんだと思います。当初は冬の街を舞台にしたお話だったのに、何故か死にゲーにしようって事になって寂寥感漂わすシーンとか入れてみたけど後付のギャップは最後まで埋まらなかったかのようなちぐはぐさを感じました。いや、死にゲーっていうより奇抜さの無い黒髪系キャラと非萌え志向で F&C 版「天使のいない 12 月」でも目指したのかなーな感じもあるかも。
CG 集としてなら文句なし、他を期待するなら叩き売り特価次第です。

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