さくらむすび

ブランド: CUFFS
紅葉エンドでコンプ。
幾らミドルプライスで 4 年前の作品とは言え、新ブランドのデビュー作で音声無し、ボーカル曲無しって物凄いチャレンジャーだと思います。見てくれを左右する CG にしても、イベント CG は決して多いとは言えませんし。ここまでシンプルに攻められると、後はもう本当にシナリオ勝負。勝ち負けはともかく、そんな勝負を仕掛けられるという時点で珍しい。
綺麗な BGM に載せてテキストを追う、捻りも何もない典型的なサウンドノベルなスタイルです。それだけにテキストの癖やシナリオが味になり、雰囲気を作ってしまう。トノイケダイスケっぽいテキスト、つまりは時に冗長に感じるほど心理描写に費やしてみたり必ずお漏らしがあったりなところはもう好みの話になるかと。
テンポ良くとは行きませんが、何を考え何を思うかを一歩一歩着実に進めていく描写が BGM と相まって実に心地良いです。音声があるとかえって気が散るとかいう気がしなくもない程に。
ぱっと見はハッピーエンドで幸せになるお話でした、ですがよくよくその過程を見ると、見えるような見えないような不可思議なものの存在を感じます。それこそ、実際に見たわけでもないのに存在を信じる人は信じるような「化け物」のように。深く考えれば考えるほど、過去と背景に何かがあったように見えるのにやっぱり化け物のようにその存在を断言できない何とも言えないもやもや感があります。不完全燃焼とかそういう不快なものではありませんし、取るに足りない話なのかもしれませんがまあ人並みに気にしてみたくなるよねといった感じで。
桜への恨み言なんて、作中でも言われてる通り本当にちぐはぐでよくわかりませんが、まあそういうものなんでしょうかね。
色々なところで桜は出てきますが、とりあえず妹の方の桜について。デフォでフラグを立てた後、しかも依存気味というのは好きな話ではありますが、やっぱり重いなあと。重く感じてしまう理由、そして重くなった過程までもが語られてしまうだけに、桜を選ぶことによる罪悪感と背徳感の重みがより一層強く感じられて良いお話でした。妹ものはやるせない背徳感と罪悪感を背負ってこそ輝くってものです。
可憐シナリオも、多少変形パターンではありましたがちゃんと妹ものでした。ちょびっと反則に思いますが、そう思わせるだけ上手いってことなんでしょう。
紅葉はもう、幼馴染み最強ってことで。トノイケダイスケの書く幼馴染みキャラはやっぱり強い、強すぎる。
キャラが皆可愛く、そして作られる世界観が優しく暖かいってのは、シンプルなサウンドノベルだったからこそ余計にそう感じるのかもしれません。
ビジュアル的なところで言うと、やたらと幼いとか子供とか小さいとか連呼しまくってただけあって大丈夫なんだろうかと思うぐらいに外角低め狙いな。いや、決して嫌いじゃないですけどね。

よかったところ
長すぎず短すぎないボリュームと、暖かい雰囲気が良いです
わるかったところ
ぱっと思いつくものがありませんが、敢えて言うならイベント CG の少なさか

キャラを絞っているだけあって長すぎませんし、普通にいちゃらぶっぽい恋愛ものとして楽しめますし、ちょっと深読みしてあれこれ考えてみたりもできるしと、名作と呼んで差し支えない良作だと思います。どうしてこんな作品を 4 年も積んでいたんだ私は。

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