ざっとまとめ。相変わらずネタバレ混入気味かもしれませんねーと一応。
もはや 1 つのジャンルとして成立してる気さえしてくる、「主食のメインヒロインだけ本気で書きました、他はただの前菜です」パターンのシナリオ構成です。
これが FA 以前の 8 月作品のような「他ヒロインのシナリオをベースというか踏み台にしつつ、最後のトゥルーエンドで大団円」パターンと決定的に違うのは「とにかく怠い」「冗長」「根幹となるメインヒロインの話に繋がる伏線が薄いか皆無」といったあたり。割合的には怠さと冗長が特徴の 9 割を占めてる気がしますが。
ということで最後に用意された杏奈ルート以外はひたすら苦痛です。杏奈ルートがとりわけ面白いというわけでもないですが、わかりやすい秘密とか興味を引くネタの有無というのはモチベーションの維持に大きく関わるわけで。
この異常なまでの怠さの原因は、日常シーンで同じパターンのボケツッコミネタを挨拶のようにほぼ毎回やるからですね。さすがに同じパターンの会話を毎回書かさずやられると飽きますし、キャラも多いので無駄に引っ張ってくれます。
あとシステム上、テキストウィンドウが立ち絵の位置に合わせて移動するタイプなので、クリック連打で流し読みという手も使いにくいのがさらに困りもの。
個別ルートに入ってもひたすら続く長い長い怠さを乗り越えて、やっと巡り会うのですからそりゃあ杏奈ルートが面白く見えるわけですよね。実は狙ってやってるんじゃないのかとまでは言いませんが、もうちょっと何とかして欲しいところです。
お話については、杏奈、伊織、詩さんの主要メンバ以外……要するに双子が要らない子になってますね。オマケとして 1 セットでいいんじゃないのってぐらいに。
ネタそのものはそれほど珍しいものでは無いですが、本作の杏奈エンドのやり口とそのエンドの意味はなかなか面白いものを感じます。未来から来た杏奈の目的はお約束通りに歴史の改変であり、つまりそれは主人公が本来進むはずだったルートを変えること。異なる世界線とはいえ過去を丸ごと否定するのってどうなんでしょうね。さらっと流しちゃってる気がしますが。
あとあの杏奈エンドも、よくあるパターンのようでいて微妙に違うあたりがもにょっとして良いです。受け継がれたもの、引き継がれたものと言えば聞こえは良いのですがそんなので本当にいいの? と。だからこその、未来ノスタルジアなのかもしれませんが。
杏奈ルートの話や最後のエンドを見るに、プロットの時点では面白いお話だったけど色々肉付けしていくうちに余計な贅肉が増えすぎてしまったような感じがします。
CG はぱっと見通り、克原画の乳だけ楽しんでおけばいいと思います。他は割とどうでも良いです。描写上、拘る感じは多少しますが多少だけなので乳ゲーではないと思います。
- よかったところ
- 橋本みゆきの新曲と杏奈エンドは良かったと思います
- わるかったところ
- 日常シーンの苦痛さではトップクラス
前半戦の辛さに耐えて耐えて耐え抜けるのなら手を出しても良いと思いますが、相対的に良く見えるだけで何かしらの捻りとかインパクト、泣きゲー的な盛り上がりを期待するのは止めた方が良いかなと。奇しくも同じ前半苦痛パターンだった、いろセカの方がそういうのについては良かったですし。