ハピメア(14)

Web にあるショートストーリーも一通り読み終わったしで最後にまとめのようなもの。今回はシナリオに関する部分はネタバレに触れる方向で。

ちなみに書きながらやり直してたら、未回収のバッドエンドというか何も無しエンドを一つ回収。これは忘れてたというか気付かなかった。

システム周り

紫と言えばシステムの設定項目に関しては文句の付けようがないのにコンフィグ画面が非常に残念な画面デザインだったというのが未来ノスタルジアの時の印象でしたが、今回は普通に見易く整列されてます。

あの視認性の極めて悪いアイコンが並んでいたパレットもデザイン変更してシステムメニューっぽい分かりやすい物に。ただデフォルトで半透明表示というのはちょっと余計かなと思いましたが。たったこれだけで見違えるものになるとは。

バックログはそれまでに辿ってきた各話の要約表示、さらに各話冒頭へのジャンプができるようになったのが地味に良いです。

演出周り

吹き出し、SD カットイン、H シーンのカットイン、といったいつも通りの紫演出は別に良いものの、立ち絵演出の応用なのか「添い寝してるシーンを立ち絵を横にして表現」は普通に一枚絵で用意して欲しいと思うところです。

他にも幾つか、イベント CG が欲しいシーンに無いとかの不足感があったので、演出で補うか他の手法で誤魔化すか一工夫欲しいですね。

背景については標準的だと思うものの、夢の世界での背景は何かこうシュールというか、夢だからあれで良いのかというのか、何とも言えない感じが。あるはずのない植物が生えるという異常を自然に描くのは間違ってるのでしょうけど、もうちょっとこう下草を生やすとかはあっても良いのでは。

グラフィック周り

克原画ってだけで立ち絵からしてエロイのはどうしてなんだろう……と思うほどに流石。表情や構図の取り方が抜きゲっぽいというか。さらにそこに、先述のカットインとして別構図やアップが入るのだからますます抜きゲっぽいというか。

月杜尋原画キャラも負けず劣らずなのだけど、やっぱり方向性の違いはあるかなと。清純派とお色気派というか。でも両氏の絵を一画面内に入れたときの調和は悪くないです。次があるなら次も今回の組み合わせでお願いしたいところです。

音響周り

OP は安定の橋本みゆきなので以下略、BGM は数曲印象に残るのもあったりしたので良い方なのでしょう。

キャストについては濡れ場演技含めて折り紙付きな安心の安定組。特にそよそよはこういうキャラも見事に合っていて大変よろしいと思います。

以下、シナリオ周りに関してはネタバレ全開要注意。

シナリオ周り

前半共通、後半個別といった単純な構造ではなく、共通の流れの中に個別のエピソードを折り込んで最後に個別というやや珍しいタイプ。なので一周目はかなり長く、結論までなかなか読ませない展開は楽しめました。

重要そうな設定について冒頭からお察しくださいと言わんばかりに示されてるので非常に分かりやすく見えるものの、実際のところそんなのは前提と言って良いぐらいのもの。

よくあるハーレム環境でなんでこの主人公は一番手っ取り早いところに手を出さないんだろうというツッコミを入れたくなるのがありますが、一応本作ではその辺の理由・原因程度のものは有り、微妙とは言えないまでも一定距離を置く動機を個別ルートのネタとせずさっさと提示してくれるぐらいです。

お話は概ね個別に抱えている問題の解決ではあるけど、タイトルに即して夢との関わりを持ったもの。個別のシナリオがちゃんとタイトルや全体のテーマと合っていると、統一感があるので好みです。キャラは一通り、全員ちゃんと可愛いというか好きになれましたし。舞亜みたいなキャラ大好き。

各シナリオは童話をモチーフとはしていますが、そこまで深い意味は無い……ように思ったんですがどうなんでしょうね。舞台、配役として童話を引いた以上のものはなさげに見えましたが、そもそも特に明示的に触れられてなかったり触れてたりな感じですし。正に童話のような夢でした、以上に何かあるんだったらそれはそれで面白い解釈なのだけど。

自分的に及第点から一歩抜きんでたと思ったのは、やはり有栖ルートかなと。夢をネタにした作品だけに実は夢オチでしたというのはまだ予想の範疇、しかしループもの風に実は他のヒロインのルートを含めて全てが繰り返される夢だったというのは正に夢にも思わず。

だってほら、それはつまり他の個別 ED を否定することにもなりかねないわけで。ブランドイメージ的に紫でこれが許されるのはちょっと意外でした。一応、夢の後までは分からないという形で濁して希望もあるように見えてはいますが。通りで夢と現実の境がいまいち不明瞭だったわけですね。もう大好きです、こういうの。

また、有栖は当初から伏線っぽく語られていた通り夢の存在であって実在はしない、しかしそこはえろげ的ご都合展開で現実世界の存在と統合して”ハッピーエンド”なんでしょ? という安易な想像通りにはしなかったのも良いです。

いや、流れとしちゃ同じですが、主人公はきちんと有栖と現実の存在である有子を分けてます。

「有栖……俺も、有栖のことが好きだよ」
「うん、聞いた……だけど、ボクの事はそうじゃないんだよね」
「ああ、そうだな。恩もあるし責任もあるし、助けたいとは思うけど」
「有栖に思ってる好きとは、違う……」

何気にこれは珍しい、というか感覚的に「ですよねー」なはずなのに巷の主人公どもは博愛精神で同一存在として見ちゃうのが多数派な印象です。こういう冷静なドライさは大好き。

こういう細かい部分含めて、いちいち琴線に触れるというか好きな要素を見事に突いてくれる作品にまさか紫で出会うとは。選り好みせず色々やらないと駄目ですよねやっぱり。

惜しいのは誤字脱字の多さで、ルートによって多少の差はあるものの気になる程度に目立つのが勿体ないです。さらにボイスとの違いも一部見受けられ、どうにもチェック不足の気配が。些末な誤字やボイスとの相違は、重要なシーンであればあるほど萎えるので、せめてそこだけでも力入れて欲しいものです。

今回の初回特典はサントラですが、使い回しの絵とはいえジャケット付き 2 枚組。ジャケット裏のトラックリストで OP のタイトルを間違えたりしちゃったようですけども、紫は CD が鬼門なんですかね。

  • よかったところ
    • 予想外に好きな要素が多すぎて困りました
  • わるかったところ
    • 誤字脱字の目立ちと、イベント CG に不足を感じたところ

作品によって評価の上下が激しい最近の紫作品の中じゃ、ようやく一歩抜きんでたという印象です。紫はコンスタントにこのレベルの作品を出せているべきだと思うのですがどうも上手く噛み合わないのか惜しいところに留まるというか。

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