大図書館の羊飼い(16)

間が空いてしまったけどスルーしてしまうほど印象の無い作品でもないので。直接的なネタバレは避けましたが話の流れとかシナリオ構成は触れたのでネタバレ注意推奨。

「いつもの 8 月」だけあってヒロインやサブキャラのキャラ立てはやはり上手く、全体も無難に纏まってます。特徴的な記号とか変な展開とかを持ち出したわけでもなく普通と言えば普通。なのに、不思議なほどに飽きなかったし印象も悪くない。

というのも今回は、キャラクタをより深く掘り下げる方向に重点を置いたのが成功してるのでしょう。

王道学園ものなんてそれこそ王道だけあってほぼネタは出尽くしたもの。かといって安易に奇を衒わず、キャラクタの内面に寄ったシナリオであくまで日常の範囲内でケリを付ける、そこがもう見飽きたはずの学園ものだったにもかかわらず最後まで楽しめしまった要因なのかなと。

前半の共通部はいつものキャラ立ての上手さで話に引き込みつつ内面をチラ見せ、個別ルートでそこを回収という感じで。

惜しむらくは、「羊飼い」というタイトルにも出てくる要素が関係するキャラ以外だと殆ど活用されてないという一点に尽きます。全員に都合よく関係性を持たせるのは難しいところですが、ばっさりと分けられてしまうのもそれはそれでちょっと。これも一つの決断だと思いますが。

トゥルーエンドルートは話の筋自体は変わらないものの、選択肢により好きなキャラを相方に選べるというちょっと珍しい仕様で事実上のハーレムルート状態なのがオマケ的で楽しかったです。しかしこれって、主人公が居なくても各キャラの抱えてる問題は自然解決出来たよってことになって主人公なんて別に必要なかったんじゃあ……というのは深読みのし過ぎと。

最後の最後に漸く羊飼い関係を綺麗さっぱり清算という流れ自体は別に悪くも無いのですが、やっぱり個別ルートで殆ど触れられてこないところからくる分断みたいなものは感じます。個別のルートに於いて、羊飼いはもうこの話には関わらないという意思表示を示すシーンはあるものの何かが足りないというのか。

あと今回、サブキャラにもちゃんと手を出してくれる親切仕様になりましたが、やはりキャラ立ての良さがあるだけにちょっと勿体ない。とはいえどうしてもそこはサブキャラですしシナリオがあるだけ救いですし、と納得するしか無いのでしょう。望月さんは背景とか過去とか色々ありそうなのにばっさりと略されてるのが惜しいとか、嬉野さんは呼び捨てなんかにしたら最初は絶対反発しそうなのに、とか。

演出面では幾つか、今までの 8 月作品ではあまり記憶に無い演出を部分部分で使ってるようです。歩行時の動く地面とか、立ち絵を背景に入れてみたりとか、光線と陰影を強調してみたりとか。実験的な感じもしますが、使いどころを選んで試してるといったとこでしょうか。

システムはもう快適の一言に尽きます。特に、サスペンドとバックログからのジャンプは中断時のクイックセーブ・ロードを不要にしてくれるので本当に便利。同様の機能があるのは他に紫のシステムですが、もっと広がって欲しいものです。

キャラクタはみんな可愛いというかショートヘアのキャラとかあまり……な自分でも千莉は可愛いと思うぐらいみんな可愛いよねと。鈴木とか、既視感のあるキャラのくせにちゃんと美味しいところを持っていく良いキャラですし。

ボイスもキャラとよくあっていて通常シーンはいいのだけど、どうも濡れ場の演技や嬌声がやっつけに聞こえるお方が若干名。不慣れというのではなく、もっと根本的な部分で違うような。好みの問題かもしれませんが、ここはちょっと気になりました。

  • よかったところ
    • 不思議なほどに楽しめてしまう無難安定振り
  • わるかったところ
    • 羊飼いというネタを共通とトゥルーでだけ使うのは有りか無しか

さすがの 8 月と言うべきか、毎回着実に進歩してるものだとちょっと感心しました。けよりな並に数年戦えるコンテンツとなれますかね。

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