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翠の海

XIII.永遠の幸せ、II.生かされ、IV.逃走、VI.瞬く星の下、VII.護るべき者の隣で、で総数 16 の ED 全てを見終えてコンプ。

好きな作風という甘めの評価を差し引いても、最近やった中では十分に楽しめた作品でした。面白そうだと思ったのが期待通りに面白いと素直に嬉しいものですね。

閉鎖された隔離環境、館、記憶喪失主人公に絵に描いたようなトラウマヒロイン、とよくある記号ばかりですが、それら記号はただの属性や設定を示すだけのもの。各キャラクタを掘り下げ、抱えた過去と抱いた感情、心理描写を中心としたキャラクタ本位のシナリオは読み応えがあります。

箱庭の楽園とそこに住むトラウマヒロインというとグリカジを思い出しますが、似通った題材でもやはり雰囲気は別物です。どちらかといえば楽園であることを表に出したいのか、展開としてあまり強いインパクトのあるものはありませんし。

キャラも ED 数も多く、キャラとその ED によって雰囲気も話も様々です。最初の頃に辿り着いたのがやけにあっさりしたものだったので誤解してしまいましたが、進むべき道を辿ればきちんとヒロインと向き合えます。

と、そんな誤解をしてしまう程度に他作品で言うノーマルエンド的なルートにもそれなりの長さがあったわけで。即死系選択肢のように、選んだら速攻バッドエンドとか適当なやっつけ話でエンドというのはむしろ少ないです。

さらに言えば、ラストの選択肢 1 つでそのヒロインのグッドエンドとバッドエンドが分岐するような古典的な単純構造でもなく、分岐点そのものが違って ED に辿り着くまでの話が全く別であったりもします。「ヒロインを選択する」のではなく「行動を選択」することで「話が選択」される、これって最近本当に少ないですよね。

構造としては樹形図上の分岐で、フラグ管理の甘い作品によくある前半の選択肢で選ばなかった方の情報やイベントが後半で既知であることになってたりするなんてことはありません。選択肢は最近のえろげとしては比較的多いでしょうが無駄に多すぎるという程でも無く、セーブしてそこからやり直すというプレースタイルでも攻略に詰まる要素は殆どありません。

一応、ヒントとしてタロットを模したカードで現在の地点から到達可能なエンド、辿り着くための婉曲的なヒントを表示するモードもあります。こういうカード、初回特典とかで付きませんかね。

特にフラグというわけではありませんが、選んだ選択肢とその結末がきちんとリンクしてると言えるのも何気に良い感じです。過去と向き合えた者には本当の幸せを、目を逸らした者には偽りの幸せを。

ヒロインについては満遍なく好きになれた作品ですが、印象的だったのはみちる、知紗、双子でしょうか。ほぼ全員、ある意味で狂気に抱かれているところもまた素敵です。

特に双子、双子というのは一纏めにされた挙げ句に適当なやっつけ話でお茶を濁されるか片方だけ優遇されてもう片方がサブキャラ扱いされるものだと相場が決まっているものだと思っていましたが (杏アフターまだ?) 、本作の双子シナリオはきちんと双子を”二人”として、決して双子という”一人”ではないお話で好きでした。ちょっとご都合色があると言われればそうですが、何事もきっかけが肝心だけどそんな切っ掛けの存在すら気付けないと言うことでそれほどご都合過ぎることもないかなと。

十分、楽しめた作品ではありますが荒削りな部分も勿論あります。ミステリーっぽくはあっても実はミステリーじゃ無い世界なので切り捨てたのかもしれませんが、閉鎖環境という舞台の雰囲気作りは正直足りないと思いますし、各ヒロインのハッピーエンド以外のルートで恋愛関係に至る描写とかちょっとやっつけ過ぎ、過去の回想 CG なのに現在と同じ衣服を着てるとか。

全体のボリュームは最近の基準と比べると相対的に短めになるのでしょうが、決して短すぎるという事は無いと思います。程よくコンパクトに纏まってると受け止めてます。

おまけシナリオは適当なやっつけエロ補完シナリオよりはずっと好きですけど、それならシリアスなのも 1 本欲しかったかなと。

  • よかったところ
    • 選択によって様々に変化するお話というのは ADV の真骨頂
  • わるかったところ
    • 無難に纏めた感じがするので、もうちょっとインパクトのあるシーンとか入れても良かったのじゃ無いかなと

プレー中は確かに面白いし楽しめたのですが、もう一押し何かが欲しかったと思います。もちろんそんなのは大半の作品にも無いので、イイ線いったのだからもうちょっと上を目指して欲しいという褒め言葉。良作ではあるのですが名作にまでは至れない、入賞とまでは行かない佳作、ってあたりでしょうか。

ちなみに白羽と深雪はルートも ED もありません。こんな直球炉理キャラとか正気かっと思いましたがさすがにそんなことはなかった。

翠の海

引き続きエンド消化で、XVI.翼広げて、III.殺人者、V.狂気の中で、XV.踏み出した道まで。

やはり屋敷の秘密自体はただの舞台要素、かといって主人公やヒロインの抱えた過去のお話がメインというわけでも無く、箱庭の楽園という世界そのものを問うお話と。

分岐後はやや短いのかと思ってましたがそんなことはなく、後で突っ込もうと思ったポイントも手抜かり無くフォローしてくれるので割と素直に楽しめてます。同じハッピーエンドでも、トゥルーエンドっぽい方が力が入るのは当たり前ですね。

翠の海

先月末の密かな注目作とみてましたが、予想に違わずなかなか面白いです。遂にワゴン常連を脱出でしょうか。

一周目で約 8 時間程度、途中の選択肢で樹形図上に展開していく比較的珍しくなってしまった構成で、分岐した先も長くは無いのでサクサクとエンドを潰していって真相に迫るタイプです。

一種のミステリー仕立てかとも思いましたが、案外ネタ晴らしは速い上にあっさりしてるのでお話のメインはまた別にあるようで。

エンドは、X.永遠の楽園、XIV.必要な人間、XI.赤い塔、I.青い鳥のため、XII.幸せのため、VIII.解けない魔法、IX.幸せの茨道まで。ハッピーエンドからバッドエンドまで取りそろえてくれてるのはやっぱり楽しいですね。